数学準備室に日誌を届ければ、イヴだからと岡ちゃんにいつもよりちょっと高い紅茶とジンジャークッキーを貰った。



初めて食べたジンジャークッキーも美味しかったし、さすが岡ちゃん。

ほんま太っ腹や。



今日は早く帰ってもうゴロゴロしようと思っとったけど、また長居してしもた。

岡ちゃんとなんてことない話するん、結構好きねやんな。

気持ちも少し落ち着いた。



さすがにもう帰ろうと廊下を歩いていると、



「お、杏奈見っけ」



まさかの俊介に声をかけられた。






「え、俊介⁈ なにしてんの!」

「お前のこと探してたー」

「いやいやおかしいやろ。
ちえとデートちゃうかったん⁉︎」

「ちえも今、杏奈のこと探してるぞ?」

「なんでやねん」



わけわからん。

なんでそんなことになってんの。



「達郎が一緒に探してくれって頼んできたんだよ」

「…………は⁈」






あたしの知らんとこでなにかが起こっとる。

達郎の名前にあたしはドキリとしながらそう確信した。