「気まずなんのも嫌やし、今日からまた友だち!
な、そんでええやん。
せやしもう帰りとか迎えに来んでええよ」
「勝手に! ……勝手に話進めんなよ。
俺、別れるとか言ってないんだけど」
綺麗な瞳やなぁって、思った。
場違いで、空気読めてないのはわかってるけど、あたしの胸から溢れるのはそんな気持ちやった。
達郎の瞳は真っ直ぐすぎて、ズルいあたしはまた、すがりたくなる。
ほんまは好きやねんって言いたくなる。
そんな自分がキモチワルイと、思う。
「好きちゃうのに付き合うっておかしいやん」
はっとして、そっとそっと、達郎はまぶたを下ろす。
また開かれても、向けられない瞳。
「今までありがと。
達郎と付き合うん、どんな感じかて思てたけど、楽しかった!」
「杏奈、」
「そんじゃ、またな」
ひらり、手を振って。
なんてことないかのように、別れの言葉を口にした。