達郎が俊介に断りを入れて、教室から出て行って貰った。
そのせいで、今、あたしはコイツとふたりきり。
今からする話を俊介に聞かれんのも嫌やけど、達郎とふたりになんのもなぁ……。
しゃーないねんけどさ。
ちょっと、しんどい。
「さっきの話……聞いて、なかったのか?」
「え? 聞いとったで?」
「なんで、じゃあ……っ。
そんな、普通でいられるんだよ!」
吠えるように怒鳴った達郎。
あんたには今のあたしが普通に見えるん?
あたしってもしかして演技派?
なんて、頭ん中、明るく考えてみる。
「そんなん言われてもなぁ」
髪をきゅうっと掴む。
「あたし、知っとったもん。
達郎があたしに告白してきたんは罰ゲームやって」
「え……?」
上擦った、声。
今にも泣き出しそうやと、思った。
種明かし、しよう。
せやし、それまでは待って。
泣かんとって。
あんたが泣いたらあたし、耐えられるわけないやん。