教室まで戻って来てなお話し続けるふたりには付き合ってられん。
自分の分のパンだけを持って、中に入る。
そこには、笑う友美と万里奈。
そんで、2人の頭をバシンと叩く、頬を染めた達郎がおった。
「黙れよ!」
「わー、また赤くなったー!」
「お前らほんっとうるさいな!」
真っ赤になって、焦って、声が大きくなって。
いつも通りの反応。
それが、こんなショックとか、あたしどうしたんやろな。
達郎は簡単に手が出る。
あいつ、ガキやから、アホやから。
小学生の頃と同じように気軽に叩いてくんの。
たとえば、からかわれたりした時とかな。
いつも叩かれてるから、よく知っとった。
せやけど、他の子にもしてるのを見ると、嫌やって思った。
あたしは、彼女やのに。
あたしは、特別やのに。
ほんまに好きなんとちゃうから?
せやからみんなと同じなん?
付き合ってるだけで十分って思わなあかんのに、ワガママやねん。
あたし、達郎の唯一になりたい。
嫌われてるから叩かれるんとちゃうん、嬉しいねんで?
でも彼女扱いってわけでもないんが悔しい。
みんなと違うんも、一緒なんも、いややねんな。
どうしようもない。
なにしてても、なにされても、最終的にはただ、苦しい。