私たちは、それきり言葉を交わせないまま、家に辿り着いてしまった。

「・・・じゃあ」
そう声を掛けられて、私は名残惜しく思いながらも指を解いた。
「・・・送ってくれてアリガトゥ」
「おぉ」
気恥ずかしさが伝線したみたいな返事をすると、彼はクルリと背を向けて、来た道を戻り始めた。
私は彼が見えなくなるまで、ずっとその背中を見つめていた・・・。