ヒロミが来てから一ヵ月。
相変わらず馴れ馴れしい所があるけど、私は少しずつヒロミのことをまっすぐ見れるようになっていた。
決して好きなタイプではないことは、変わらないけど。
「ふーん、絶対笑わないんだ。それじゃあ俺が挑戦しようかな」
私をネタに、男の子達の話が盛り上がっていた。
別にもう気にならなかったし、とっつきにくい奴だと思われていた方が、ここに居安いと感じていたのが本音だった。
「俺が笑わせてみせる!」
得意気なヒロミ。
一体どんなネタを持っていると言うのだろう。
「新入りのヒロミ君にそんなことできるかよー」
「そうそう。遥香ちゃん強敵だぜ」
浮かれて様子を伺う男の子達。
私は無視して作業を続けた。
いつの間にか隣に立つヒロミ。
「なんですか」
無愛想に答えてみた。
からかわれるのにはもう慣れていたくせに、ヒロミの自信有り気な態度が妙に腹立たしかったから。
うっすら笑みを浮かべて、私の隣にしゃがみ込む。
私の手が什器で塞がっているのをいいことに、ヒロミは両手で私を包み、耳元で囁いた。
「遥香、笑って」
ドクン……っ