休日はレジ前も混雑するが、とにかく店内の陳列が乱れる。
私は雑誌のコーナーを回り、それぞれの棚を整理していた。
「バイク……好きなの?」
いつの間にか隣に現われ、すでに整理し終わった雑誌をさらに整えるヒロミ。
「な、なんですか」
馴れ馴れしい人は嫌いだ。
いきなりこんなに近付いてきて。
「この前俺のバイク見てたでしょ。興味あるの?」
「べつに。
そんなんじゃありません」
私は返却ラックの前を通り、DVDコーナーに移動した。
ケースを一つずつ確かめ、ナンバーごとに並びかえる。
すると向かいの棚の隙間から、笑顔のヒロミが覗いてきた。
「……っ!変態!」
「えっ!あ、ごめん。そんなつもりじゃないんだ」
この人は何なんだ。
浮ついている。
変な人だ。
早足で去っていく私を、エプロンのポケットに両手を入れたまま見送る。
午後からヒロミは在庫チェックに入るはずだ。
私は店長に頼んで、その作業から抜けさせてもらった。
ヒロミが、なんとなく苦手だった。
近付くなオーラを出してる私に、どんどん迫ってきて。
ただ、裕志と共通点があるから
少し…気になるだけ。