約束の日。
今日は天気がいい。
「よかった、晴れた!」
うれしそうに私にメットを渡す。
ヒロミの顔が、
裕志の笑顔と重なった。
私は心の奥で、なんとなくそれに気が付きそうになりながら
無理にそう考えないように心掛けていた。
ヒロミはきっと……
「今日の海はキレイだぞー!はい、乗って!」
ヒロミはSRに腰を下ろし、私の乗車を待っている。
「どうやって乗るの?」
きょとんと佇むマッチ棒のような私の姿を見て、ヒロミが大笑いした。
「アッハッハッハ!
メット似合わねー」
眉をしかめる私に片手を出して、ヒロミは私を自分の後方に乗せた。
ヒロミより、少し高い位置に座る。
それでも私の方がまだ低い。
メットが重くて、ゴチゴチとヒロミの頭にぶつかった。
「あ、ごめんね」
私は小さく謝る。
「うん、いいよ」
車体が揺れるごとに、またゴチゴチと当たる。
「あ…また。ごめん」
「うん。クックック……」
ヒロミが笑うと、私もなぜか頬がゆるんだ。
なんだか、楽しい。