初めて、この暗いものに出会ったとき、私はとてつもなく、誰かに似ていると思った。


その誰か、は。


稲穂でもない。


喜多見でもない。


五十嵐でもない。


島津でもない。


戸崎でもない。


美香でもない。


伊藤でもない。


斉藤でもない。


笠島でもない。


お父さんでもない。


お母さんでもない。


亜実でもない。


そして、その別の誰かでもない。