「ホラァ!泣いちゃいなよ?喚いちゃいなよ?このブス!」

「いつもいつも、調子に乗ってるんじゃねーよ!優等生だからって、いい気になって出しゃばりやがって!」



いじめっ子が発する言葉が、私の胸に突き刺さる。


私の胸に突き刺さっているということは、折乃さんの胸に突き刺さっているということだ。


つまり、折乃さんは心を傷つけられているのだ。
しばらくすると、折乃さんに暴力をするのを飽きたらしく、五十嵐さんがこういった。


「ちょっとついてきな」


折乃さんは、五十嵐さんに言われるがまま、屋上までやってきた。


嫌だな、きっと痛いことされるんだろうな…。


もしかしたら、売春やらされるかもしれない…。


折乃さんは、不安で、怖くて、今すぐにでも逃げ出したくて仕方が無いようだった。


今の私は折乃さんだから、なんとなくわかる。


すると、五十嵐さんは言った。


「ここから飛び降りてよ!」
そして、言われるがまま、折乃さんは屋上から落ちていった……。


そう、これが折乃さんが植物状態になってしまった"原因"、そして"真実"だったんだ…!


折乃さんは、五十嵐さんに命令されて、飛び降りたんだ!!


しかも、『もう死んでもいいかも』と折乃さんに思わせる程、折乃さんに暴力をして、追い詰めたんだ……!


五十嵐さんの…せいだったんだ!
もしも、五十嵐さんがあんなこと言わなければ。


もしも、五十嵐さんが皆に折乃さんをいじめようと提案しなければ。


もしも、五十嵐さんがいなければ。


こんなことには……こんなことにはならなかったんだ。
折乃さん……いや、"亜実"はあんな目に合わなかったんだ……!


私は気が付くと図書室にいた。


今までの"夢"での出来事は、ほんの一瞬にして起こった出来事だというのだろうか。


私は、まだ五十嵐さんに首を絞められていた。
全ては、五十嵐さんが命令して、やったこと…。


皆、五十嵐さんがいなければ、誰も"亜実"をいじめようとなんかしなかったんだ。


そう、五十嵐なんかいなければ、こんなことにはならなかったんだあああああああああああああああああああああああああああああああ!


私は、図書委員がよく使っている机の上にあるハサミを手にとって、五十嵐に突き刺した。
「ああああああああああああああああ!!」


五十嵐さんは金切り声をあげる。


「ああああああああああああああああ!!」


私は、五十嵐さんの手からやっと解放された。


「ハア・・・ハア・・・!!」


なんとか、息もできるようになった。


そして、手に持っていたハサミをぎゅっと握り締めた。


五十嵐さんの太ももからは赤い血が流れてゆく。
どうやら、かなり深くまで刺さったらしく、歩けそうにないようだ。


調度いい。


「死ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」


私は五十嵐の体の至るところにハサミを刺してゆく。


それは目だったり。


それは頬だったり。


それはお腹だったり。


それは、腕だったり。


それは、数え切れないくらいに刺した。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
五十嵐が真っ赤に染まってゆく。


けれど、まだ意識があるようで、まだ叫び続けている。


「うっさいのよ!!"亜実"はいじめられていても、ずっとずっと我慢していたのに、いじめていたあんたは我慢できないっていうの!?」


五十嵐が叫んでいる中で、私も本音をぶちまける。


しかし、五十嵐にはどうにも聞こえていないようだ。


今まで、"亜実"をいじめていた者達を、"亜実"がされてたいじめの内容に添って殺してきた。


彼女にも、彼女達と同じことをしなくては。