「巧のヤツ、抜け駆けしやがって・・・おまけに、キスまで無理矢理とか・・・」
神谷くんが、ぎりっと唇をかむ。
そして、窓の方をにらむ。
それは、野球部が練習している方角だった。
「すげぇ、腹立ったし、ムカついた」
「神谷くん・・・」
「・・・突然、こんなこと言っても引くよな」
何かを諦めたように、ため息をついた。
「でも、俺・・・諦めたわけじゃないから」
ささやくと、神谷くんはサッカー部のスポーツバッグを持って、教室を出て行った。
昨日とよく似た夕日が教室を照らす。
唇の熱が、また甦る。
甘い、そしてどこか切ない熱が。
☆End☆
「はぁ・・・」
教室を出て、廊下を歩く。
なんかなぁ・・・
別に、キスされたのが特別嫌ってワケじゃない。
たぶん・・・私はキス魔だから。
でも、大して好きでもない人に2日続けてというのは・・・
「かおりん、どーしたの?」
かおりん・・・って・・・
「ともプー、その呼び方やめてよ」
「かおりんがともプーって呼ばなくなったらね」
にこっと笑うのは、熊井 友博。
バスケ部のキャプテンだ。
・・・とてもそうは見えないんだけど。
友博は、ともプーの愛称で親しまれている。
あの、ほら・・・某有名テーマパークにいる黄色い熊さんに似ているからだ。
仕草とか、表情とかが、ね。
私とは、誕生日が同じだ。
同じ日にプレゼントをもらっているところに遭遇して、それを知った。
変な偶然だ。
「めずらしーね、ため息なんか」
「まぁ・・・いろいろあってね・・・」
「ははぁん、さては男関係だなぁ?」
「・・・!」
「図星かよ・・・」
ともプーが、はぁ・・・とため息をつく。
「ったく、かおりんは無駄にモテるんだから・・・」
「無駄にって・・・」
「だってそうでしょ?なーんか、モテちゃうんだ」
「・・・そんなこと言ったって」
「あー、もー、そんなかわいい顔しちゃうから」
ともプーが顔を近づけてきた。
「いたずらしたくなっちゃうな?」