伊月兄と、目を合わせて笑いあう。


本当に、伊月兄がここにいるんだ。

嘘みたい。嬉しい。



そのとき、大きな風が起きた。



それまでの爽やかで心地よい風とは

大違いの、荒くて強い風が。



風の中で、伊月兄が髪を抑えながらいう



「柑奈。気を抜くな。なにか起きるよ。
俺たちにとっての大きな風が…。」