----------ピピピ ピピピ …ガバッ!


「……朝か…。」



今日も憂鬱な朝が来た。

私は朝が嫌い。

なぜなら……



ドンッ!ドンッ!ドンッ!
「朝だよ〜!」
「フンフンフーン〜♪」


毎朝これだもん。

今日から待ちに待った高校生活が始まるっていうのに、うちのママは今日もいつも通り下手くそな鼻歌を歌いながら起こしに来る。

ただでさえ低血圧で朝は起きられないし、起きても機嫌が悪いっていうのに…

私のイライラはMAX!


無理やり体を起こして洗面所で顔を洗う。
それから真っ白のブラウスを着て、真新しい赤いチェックのスカートをはく。スカートと同じ赤色のネクタイを締めて、白いラインが入ったグレーのブレザーに袖を通す。

鏡に映った自分を見て満足げに笑う。

さっきまであんなに機嫌が悪かったのに、もうすっかり忘れて鏡に微笑みかけちゃったりしてるよ…

ニコニコのまま、一階のリビングに降りて朝食を食べていると、パパも朝食を食べに来た。

「お!新しい制服だな! ちょっと立って見せてくれよ!」

私が立ち上がってくるっと回ってみせると、

「すーっごく似合ってるぞ! やっぱり紅学にしてよかったなー!」

とかなんとか言っている。

「パパ、制服で高校決めたわけじゃないんだから…」

「パパとママは、子供ができたら絶対にこの紅学の制服を着させてやりたいなって言ってたんだぞ。」

…そうなんだぁ。だから私が紅学に行きたいって言ったとき、あんなに喜んでたんだ。

「へー。初めて知った。 とにかく、入学式に遅刻するとか絶対嫌だからもう行くね?」

「お、おう。 パパも入学式行きたかったな〜。」

「パパは今日、とっても大切な撮影の仕事でしょ!早くご飯食べて行きなさいっ!」

「あ、もうこんな時間かー!ママごめんね!愛娘の素敵な姿、しっかり撮ってきてね!よろしくー」

「わかったわよ!だから早く食べなさい!」

「はいはい。 ごちそうさまでした。 行ってきまーす!」

バタバタバタ…

パパは凄まじいスピードでご飯を食べ終え、仕事に行った。

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パパは雑誌やポスター用の写真を撮るカメラマン。自分で写真集とか出してて、結構人気のカメラマンらしい…

パパが昔、ファッション雑誌の撮影で当時モデルをやってたママに一目惚れをして、猛アタック。

最初は全くパパに興味がなかったママだけど、お茶に行ったり映画を見に行ったりしていたら、いつの間にかパパのことが好きになっていたんだって。

交際を始めてからから3年後、2人はゴールイン♪

そして、1年後の5月6日に私が生まれた。

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さて、私もそろそろ行きますか。

「ママ、先に行くね!」

「はーい! 気を付けてねー! ママもすぐ行くからねー」

「うん!行ってきまーす!」

昨日の夜に磨いたローファーを履いて、春の住宅街を歩いていく。

爽やかな風が吹く桜並木を抜けて、急な坂を登りきった先に見えてくるのが、私が今日から通う『紅華学園』。

通称 “紅学”

学校説明会とかで何回か来たことはあったけど、やっぱり綺麗。

今日から私もここに通うのか…

楽しい3年間になるといいな♪

そんなのんきなことを考えながら私は紅学の門をくぐった