ありがとう。
アツコはやさしいよね。

いつもあたしの話聞いて、元気づけてくれて。


寝たふりのあたしは、アツコにそう言われたジンの表情は見えない。

ねぇジン、どんな顔してる?




アツコの言葉を最後に、二人の会話が途切れる。


無言の中でカタン…と、風が窓を揺らす。

「─────…──。」

その音と重なるように呟かれたジンの言葉は、よく聞こえなかった




いっそのこと、忘れてしまったことにしてみようか。

そうしたらジンとあたしのこの冷めきった関係も、なにか変わるかな。




死んだ、フリを。