あたしは大丈夫。

普通だよ。

そう言いたいのに、あたしは完全に起きるタイミングを逃した。

だって自分で感じてる容態以上に二人の会話が深刻だから。

シーンとしたこの部屋の空気が、耳に痛い。


「ミホが目覚まして…もし何も覚えてなかったら…」

「なに?」

「…もうミホに関わんないで」


静かに、でも意思の強い声でアツコが言った。


「なんだよ、それ…ふざけんな」

「ふざけんなって何?アンタが言える事…?いつもミホ悲しんでんだよ?」

「…」

「今みたいに息きらして心配するくらいなのに、なんでもっとミホのこと大事にしないわけ?」

「…お前に関係ねーよ」

「関係ないかもしんないけど…もう嫌だよ…だって、ミホいつも泣きそうな顔して笑ってるから…」