ドキ…っとした。


「…こいつ、どーなの?」

「…へー、やっぱ一応心配するんだ、いつもあんなヒドイ「容態どーなんだって聞いてんだけど!」

その人はアツコの言葉を遮って声を荒げる。

「…よくわかんないけど…頭、かなり強く打ったらしいよ…」

「…それで?」

「もしかしたら記憶が…って…うちらのことも覚えてないかもしれない…って…」

…あたし、頭打ったんだ…。

目を閉じたまま、二人の会話をぼんやり聞いていた。

アツコが涙声になってる。
でもあたし、ちゃんとアツコのことわかるよ。

いつもなぐさめてくれてありがとう。

ちゃんと覚えてる。

…ジンも。


「記憶喪失…っつーことかよ…」

「…ねぇ、高瀬」

「…なに」