あれ?
今、『打ち上げ』って言わなかった?

時期的に判断すると、夏休み入る前にあった学校祭の打ち上げってことですか?

クラスの打ち上げって、普通クラスメイトが集まるんだよね。私も一応、クラスメイトなんですけど……



もしやと思い、たすき掛けしていたポシェットからスマホを取り出し確認したが、なんの連絡も入っていない。


私は楽しげに盛り上がる集団に見つからないよう息を殺し、通り過ぎるのを待った。



私はいじめられている訳ではない。クラスメイトはみんないい人達。意識的に仲間はずれにされている訳でもない。ただ、忘れられているだけ………

ある意味、仲間はずれにされている方が存在を意識されているだけマシなのかも。



淋しさよりも、みじめさが勝（マサ）った。全身の力を奪われていく。古本屋の外壁に背をつけ、そのままズルズルとしゃがみこみ、体育座りをしたまま顔を膝に埋（ウズ）めた。


日差しを浴びたコンクリートの壁が焼けるように熱く、冷え切った私の心を溶かしてくれるかと期待したが、肉体と精神は別物であると実感するだけだった。


太陽の光は金持ちにも貧乏人にも分け隔てなく降り注ぎ何よりも公平なんだと、どこかの偉い人が言っていた。けれでも、今の私はその公平さが恨めしく、できれば傷ついた私のところだけでもお日様が消えてくれないかと陰気な願い事をしてしまう。



すると、何か大きな物体が太陽光を遮り私に日陰をプレゼントしてくれた。


「あのー、えっと……
おはよう……じゃなくて
こっ、こんにちは」