「どういうこと?」


「ううーん、例えばね、日本テニス協会なんかがツイッターするとして。まあ、本当にあるかどうかは別にしてさ。

そのツイッターを、各都道府県のテニス協会がフォーローするのよ。
で、更にそれをその都道府県にある大学のテニスサークルがフォローしたらさ、そのサークルのメンバーはほぼ全員、日本テニス協会の流した情報を知ることになるじゃない。

そう考えたら、カリス姫の情報が広がって30分で莉栖花の所に来た人が現れるなんてことも無い事じゃ無いんじゃない?

SNSは、ツイッターだけじゃないしね」


みゅーの講義に想像力をふくらませると、全身に鳥肌がたった。


「えー、なにー?
じゃあ、私の写真を流出した人は、何とか協会だっていうの?」


私の質問に、みゅーは意味ありげに「ふふふ……」と笑うだけだった。その瞳は妖しく光り、何かを捕らえたように廊下に向けられた。


「莉栖花は注意散漫な所あるからね。
気をつけないと」



その視線が気になる。

私は振り返り廊下を見ると、なにか大きな黒い影がすっと横切った……そんな気がした。