「ふーん、じゃあなんでそんな写真撮られたんだろう。
その写真ってバイト先の民家でとられたんでしょ。
なんでそこにいたか分かったのかな?」


痛いところを突かれた。昨夜気づいたその理由を、スパルタ教師に告白したらきっとバカにされる。そう分かっていたので、消えそうな声で答えた。


「それはね……
もう分かってるのよ」


私は反省からがっくりと肩を落とし「えっ?」と見つめるみゅーに、説明した。


「わたしさ、バイト先で位置情報つけたままツイッターに写真載せてたの。
しかも、その写真がその家の猫だったんだけどね、ネットで有名な猫で……

ただ者じゃないなぁとは思ったんだけどねー

で、位置情報とタマミさん……
あっ、その家の猫ね。
その二つで、家が特定されたんじゃないかと思うのよ」


「マジ?
セキュリティー甘いなー」
と、みゅーは予想通りあきれ顔だ。


「でも、やっぱり分かんないよ。

そんなどっかのネットアイドルみたいにストーカーがつくほどのクオリティじゃないし、これまでだって私のSNSの仲間が見てただけのちっちゃな世界の中のアイドルだったんだよ。
こんな私の写真、わざわざ撮りに来てネットに載せたからって、誰が喜ぶのよ。
なんで、不特定多数の人に知られるようになったのよ」


みゅーは、アゴを引き上目づかいで私を見た。そして、彼女のくるくると円を描いていた人差指は私のおでこに当てられ、弾くようにチョンと押された。


「ネットなんて、何がきっかけで注目浴びるかわかんない。
誰かがこうやって指一本でちょっと押しただけで、パタパタと駒は倒されていくのよ、ドミノ倒しみたいにね。
そうなったら、もう、倒されてる駒だって、なんで倒されたのか分かんないのかもよ。
倒れるのが、楽しいだけで」