連絡を取ろうとバックに手を入れスマホを探していると、遠くからかすかに声が聞こえた。顔を上げ、声の方向に目を凝らす。すると、駐車している車の間から見え隠れする藍人くんの姿が目視できた。
その表情は、明らかに青ざめている。
嫌な予感がした。勘がいい方では決してないのに、今日に限っては当たる気がする。そんな確信を抱えたまま、藍人くんの到着を待った。
藍人くんは、こわばった表情を和らげることもできない。私の前に立つと、彼はスマホを差し出した。
「莉栖花さん、たっ…大変です。
ちょっと……これ……
これ見てください」
差し出されたスマホの画面には、静止画が映し出されていた。
「んっ?
これって……」
その静止画は窓ガラス越しにうつる……私?
部屋にある家具やカーテンに見覚えがある。そこは、猫のタマミさんの家だ。1週間前、タマミさんの看護をしていた時の写真であることは明白だった。
望遠で撮ったのか画質はかなり荒いが、私を知っている人であれば、私だと認識できるだろう。
「やだー、藍人くん。
こんな写真、いつ撮ったの?」
恥ずかしさに、顔をしかめる。けれども、藍人くんの口からは信じられない言葉が発せられた。
「違うんです。
これ、僕が撮ったわけじゃなくて。
これ……これ、ネットに……
インターネットに流出してるんです」
藍人くんは混乱する私が言葉の意味を理解する間を与えようと、言葉を切った。けれども、そんな数秒で理解できるわけもない。うつろな目で返事もできない私を待ちきれず、彼は続けた。
「これがリアルのカリス姫だって、莉栖花さんの写真が流出してるんです‼」
日光で熱せられたアスファルトが溶けるのではないかと思うほどの熱気の中、私は頭から冷水を浴びたような錯覚に陥(おちい)り、全身に鳥肌がたった。
「どういうこと?
ネットに……ネットに写真が流出してるって
………
なんでそんなこと……
そんなこと、誰がするっていうのよ。
そんなことして、誰得なのよ!」
その表情は、明らかに青ざめている。
嫌な予感がした。勘がいい方では決してないのに、今日に限っては当たる気がする。そんな確信を抱えたまま、藍人くんの到着を待った。
藍人くんは、こわばった表情を和らげることもできない。私の前に立つと、彼はスマホを差し出した。
「莉栖花さん、たっ…大変です。
ちょっと……これ……
これ見てください」
差し出されたスマホの画面には、静止画が映し出されていた。
「んっ?
これって……」
その静止画は窓ガラス越しにうつる……私?
部屋にある家具やカーテンに見覚えがある。そこは、猫のタマミさんの家だ。1週間前、タマミさんの看護をしていた時の写真であることは明白だった。
望遠で撮ったのか画質はかなり荒いが、私を知っている人であれば、私だと認識できるだろう。
「やだー、藍人くん。
こんな写真、いつ撮ったの?」
恥ずかしさに、顔をしかめる。けれども、藍人くんの口からは信じられない言葉が発せられた。
「違うんです。
これ、僕が撮ったわけじゃなくて。
これ……これ、ネットに……
インターネットに流出してるんです」
藍人くんは混乱する私が言葉の意味を理解する間を与えようと、言葉を切った。けれども、そんな数秒で理解できるわけもない。うつろな目で返事もできない私を待ちきれず、彼は続けた。
「これがリアルのカリス姫だって、莉栖花さんの写真が流出してるんです‼」
日光で熱せられたアスファルトが溶けるのではないかと思うほどの熱気の中、私は頭から冷水を浴びたような錯覚に陥(おちい)り、全身に鳥肌がたった。
「どういうこと?
ネットに……ネットに写真が流出してるって
………
なんでそんなこと……
そんなこと、誰がするっていうのよ。
そんなことして、誰得なのよ!」