一連の告白を聞き終えた私は、自虐的に笑った。
「はははは。
へー、でもさ、リアルの私を知って、がっかりしたでしょ。
学校での私は、カリス姫とは……
ネットの中の私とは全然、別人だもんね」
ここまでハードルを下げればさすがに軽々とまたいでいくだろうという私の予想に反し、藍人くんは余裕で下をくぐり抜けて行った。
「はい、そうですね。
莉栖花さんのこと調べたら想像と違ったっていうか、がっかりしたっていうか。
もっとこう、明るくってハキハキ自分の意見言う子だと思ってたんで。
こう、アイドルユニットのリーダーみたいな子かなーって。
過去ログ見てても、バシバシ言いたい事言うし……。
あっ、ごめんなさい、勝手に」
「謝んなくていいよ。
自覚してるし」
と応えたが、声は沈む。
「でも、聞いてください。
それでも、なんか目が離せなくって。
気づいたら、莉栖花さんのこと捜してて。
だからあの日も偶然じゃなくて、下駄箱見たら外靴がまだあったから学校にまだいるんだなーって思って。
なんか用あるふりしながら、玄関ウロウロしてたんですよ。
で、見つけたから後つけて。
そしたら、莉栖花さんの足取りが変で。
そのまま倒れちゃって。
思わず駆け寄って莉栖花さんを支えたんだけど……
その時、僕思ったんです。
本当に人生で初めて思ったんです」
藍人くんは、瞬きもせず私を見つめた。
「この人を……
一人の人を守りたいって」