大川さんの言葉が、私の胸の隅に眠っていた願望を叩き起こそうとしている。私は焦燥感にかられた。


現実なんてどうせこんなものだと、思ってきた。


地味でパッとしない容姿。
運動部での活躍は望めない運動神経。
学力偏差値44


世の中を動かそうなんて壮大な夢もなく、特別な物欲もない。目を付けられることなく、無難に高校生活を送れればそれでよし。大学入って、実家でなら生活できるだけの給料貰える仕事について。仮面かぶって仕事こなしたら、家でネットしながら夕食、食べて。


こうして私の人生はなんとなく過ぎていくのだろう。


分不相応な夢や希望を持つと後で大変な目に会うよって、大人たちが身をもって教えていたじゃない。



でも明日で世界が終わるなら……

明日、クラスメイトに陰口を叩かれる心配が無いなら……

好きなことは好きって言っちゃっていいんじゃ……

独りぼっちで学校の中庭、木の葉の匂いを感じながらお弁当食べたっていいんじゃ……