学校の制服を選らんだ私のセンスはあっさり否定された。


「えー。
学生のフォーマルって言ったら制服に決まってるじゃないですか」


そう反論する私に、華子さんは
「それにしたって、葬式じゃないんだから」
と眉間にシワを寄せた。


「そういう華子さんだって、微妙じゃないですか」


華子さんが選んだフォーマルウエアはパンツスタイルのスーツ。スーツはこれでもかと言いたげな深い黒で、丁寧に靴も靴下も黒い。背中にしょっているどす黒いオーラとコンフュージョンし、どんなに幸福な儀式でもリアルに呼び戻そうとするポリシーさえ見え隠れする。


「何言ってんのよ。
これはフォーマルの定番じゃない。
あたしは冠婚葬祭、これ一着で全てまかなってるんだから」


当然だと言わんばかりの華子さんのセンスも、いかがなものだろう。