勉強部屋のドアを開けると、窓を閉め切った部屋から熱風が押し寄せた。自分の部屋だというのに入室を拒否されているのではないかと、被害妄想まで浮かぶ。


唯一の武器、エアコンのスイッチを入れてから、ドアを閉じた。そのドアに押されるように、カバンを持ったままベットにバサッと倒れ込んだ。うつ伏せで、全体重をベッドに預ける。


「あっ、そうだ」

エアコンの風を直接浴びると脳みそが再起動し、確かめなければならないことを思い出させた。素早く起き上がり、無造作にカバンの中の携帯電話をまさぐる。


取り出したスマホの画面にはメール2通の表示。


一緒に歩いていた友人(私の中では)は、私が倒れたことに気づいたかどうかは知らないが、急にいなくなったんだからびっくりしているよね……
と、自分に言い聞かせ、急いでメールを開く。



『コンビニからのミッフィー・キャンペーンのお知らせ』

『コンタクトレンズのお店から プレミアムセールのお知らせ』



ああ、そうか。私が急にいなくなったことになんの違和感もなかったんだ