良かったことを挙げれば、蒼が私の手に気付いていなかったということ。
心の中で、ごめんと、謝っておく。
「なんですか?」
にこやかに笑う先生は、大したことではありませんからと言って、教室から出て行った。
ああ、付いて来いってことか。
「ええ~、なっちゃん行っちゃうの?」
「仕方ないでしょ。先生が呼んでるんだから」
文句を垂れる蒼をそのままに、私も教室を出る。