しばらく歩いてからだった。


「大丈夫か?」

やっと落ち着いたあたし。

はい、と返事をした。

すると彼はゆっくり座り込んで、

あたしを下ろしてくれた。

「ほんとに大丈夫か?」

優しげな瞳だったから、

あたしは思わず頷いた。

「2年だよな?」

「はい」

「名前は?」

「…有村 利奈です」

そういえば、この人…

見たことないような気がする。

「利奈、か。
俺、吉谷 瞬。転校生だから」

あ、道理で。

「お前、何組なの?」

「見てないんです…」

そっか、と彼は呟き、

立ち上がった。

「俺、見てくるから。
休んどきなよ」

そう言い残し、

有無を言わさず、走って行った。