「……っあのね、
言わなきゃいけないことがある…の」
あたしから放たれた言葉。
何をどう伝えるのか、
自分でも把握し切れていない。
でも、自然と、漏れてくるだろう。
自分は伝えて、離れるのだろう。
ん?と吉谷君は聞き返した。
「あたし、…病気なの。
20歳まで生きれないんだ……」
あたしの声に花火が重なる。
ドンッと時間が刻むように、鳴る。
「…え?」
「冗談じゃないよ。
だから、吉谷君とは、付き合えない」
こうして離れるんだ。
吉谷君はあたしを突き放す。
これで、何もかもおわる。
ーー「病気、だとしてもっ…‼︎」
吉谷君の声が、聞こえた。
「俺は、有村が好きだ。
それには変わりないし、
病気だからって変わらないよ。
だからさ、
もし、有村が俺と同じ想いだったら、
やっぱり付き合ってほしい、な」
吉谷君の口からは優しい言葉がこぼれた
なんか安心した。
あたしは、どこかで思ってたんだ。
きっと吉谷君は受け入れてくれる、と。
あたしから離れない、と。
何よりあたしが強く思ってた。
離れてほしくない、傍にいたいって。
「あたしね、好きだよ。
吉谷君が好きだよ」
自然に、そう口にできた。
花火をバックに、
吉谷君の笑顔が見えた。