自分の頭の中で、

「すき」という意味を調べる。

でも、あたしの知ってる「すき」は、

多分一つだけ。

「好き、なの…?」

そう聞き返すしかできなかった。

「付き合いたい」

吉谷君は真っ直ぐ、

ただそれだけを言った。

こんなに嬉しいことってあるんだ。

さっきは一緒に花火大会行けるだけで、

隣に並んで話しているだけで、

あたしの心は満たされていた。

だけど…

こんな、嬉しいことって…

夢?

いや、あたしは起きてる。

ここで、息をしている。

まだ、……まだ、生きてる。

どうすればいいんだろう。

こんなに好きが、溢れている。

だけど、

あと一歩が踏み出せない。

君は、あたしを知らない。

あたしの生命を知らない。

隠し通すことなんで、できやしない。

いつかは告げるであろうことになる、

この病気を、

紛れもない、真実を、

君は受け止められますか?

あたしを受け入れますか?

どうすることもできず、

あたしは葛藤し続ける。

でも、言わなきゃいけない。

なんて言う?

はい、って言う?

いいえ、って言う?