あたしは少し躊躇ったけど、
右手を差し出した。
「よし、行こうか」
言うと同時に白い歯がのぞく。
笑って口角が上がって、
子供っぽい、その表情が、
あたしは大好きだ。
何の会話もできずに屋台に着いた。
「おばちゃん、イチゴとレモンね」
はいよ、と威勢のいい声。
あたしが財布を出そうとすると、
「ここは俺が払うよ」
と400円払ってくれた。
大盛りのカキ氷。
イチゴの真っ赤な甘さがしみる。
甘い、と思わずつぶやいた。
「マジで?レモンの方がいいぞ?
夏って感じの、爽やか系‼︎」
はにかみながら頬張る吉谷君。
2、3口食べて、また手を繋いだ。
そして、人の少ない土手を見つけ、
2人ならんで、腰を下ろした。
まだ、始まらない。
夏の空に光る、花火。