この病気がわかってから、

色をつけることを、やめた。


『色が世界を表している』


美術部として、あたしはそう思ってる。

もしかしたら本能的に思ってるのかもしれない。

どちらにせよ、色は世界だ。

人それぞれの世界観を表現する。

あたしは、それができない。

元々は自由にあたしの世界観を表現していた。

でも今はそれができない。

あたしはどの色を

どんな風につければいいか

まったくわからなくなった。

だから、ずっと、

あたしの作品は、

モノクロで、色のない、

なんとなく淋しい風景画がだけだ。

それでも、

自分を表現できなくても、

あたしは絵を描き続けるから、

きっと絵は好きなんだと思う。


たとえ、自分が表現できなくても。