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「由香里さん?」


突然あたしを呼ぶ声がして、我に返って振り向く。


「やっぱりー!!お久しぶりです」


そう言って無邪気に笑うのは、1つ下の学年でキャプテンになった愛美ちゃん。


「由香里さんも練習に参加しません?練習着ならあたし余分にありますし」


期待に満ちた目で見つめられる。


…体育館か。


少し考えてしまうけど、あたしはゆっくり頷いた。


もう逃げないって決めたから。


少しずつでも前に進もうって思ったから。


「んじゃ、行きましょ」


あたしの手を嬉しそうに引いて体育館に足を進める愛美ちゃん。


あたしは緊張しているのがばれないか、少し不安だった。