「坂元中の浜口さん?」
いつものバス停で。
背の高い、綺麗な子に声を掛けられる。
肩に掛けられたスポーツバッグには、バレーボールのマスコット。
あたしはただ頷き、彼女を見つめる。
「やっぱり?あたし緑中でバレーしてたんだ」
彼女は微笑んであたしの手を掴む。
「もうバレーしないの?」
突然聞かれて戸惑うあたしに、彼女は残念そうな表情をしてベンチに座る。
「あたし実は、密かに浜口さんに憧れてたんだ」
「え?弱小坂元中のあたしに?」
あたしの出身校のバレー部は、お世辞にも強くはなかった。
部員も他校に比べて少なかったし、公式戦で一勝するのがやっとだった。
それに比べて緑中は、人数も多く、県の大会ではベスト16は当たり前。
首を傾げるあたしに彼女は微笑んで言う。