「今日の夜、電話するから。由香里ちゃんの気持ち聞かせて」 黒川くんの言葉に、あたしはただ頷くだけ。 ブザーの音と同時にドアが閉まる。 揺れだす車内を茫然と歩き、空席に座る。 ポケットを探り、携帯を取り出す。 予想外の出来事で、誰かに相談したかった。 けどメモリーをいくら辿っても、誰に相談できるか分からなかった。 千夏も明美も静香も。 今は電話は掛けられないと思って携帯を閉じた。