「ありがと」


自分の降りるバス停のすこし前で、彼女とっもに降りた。


そんな俺に、彼女は後ろからついてきてそう言った。


「何笑ってんの?」


振り返って見た彼女の頬はが揺るんでいて。


不思議に思った俺は聞く。


「変わってないなぁ…って」


「え?」


相変わらず微笑みながら、彼女が言う。


「二ヵ月ぶりに会ったけど、山下くんのそうゆう優しいところ。全然変わってないね」


彼女の言葉に俺は立ち止まり、考え込んだ。


「俺は優しくなんかねぇよ」


悠斗の動揺に気付きながらも、彼女とこうして並んで歩いている。


中学の時だって、ひどいことをいっぱいした。


俺の言動で、何人もの人を傷付けた。


けど彼女は、微笑んだまま首を振った。


そんな彼女に俺は救われた。


中学の頃も。


今も。