「山下、ちょっと」


そう言って、担任に廊下に呼び出されたのは入学して最初のテストが終わった頃だった。


「お前、留学に興味ないか?」


担任の英語教師が唐突に言った。


「うちと交流のあるアメリカの大学に、毎年2、3名留学できるって話があるんだが…」


俺は担任の話を遮って首を振る。


「興味ないっすから」


俺の答えに、担任は腕組みしながら言う。


「英語の成績学年トップのお前が適任なんだがね」


困ったように笑った。


「俺、今はサッカーくらいしか打ち込めないんで」


もうすぐ、高校に入って初めての県の選抜選考会がある。


うまくいけばプロ、せめて大学位は名門に入れるチャンスに繋がる。


今はサッカーに集中したかった。