「ありがと」


そんな山下くんの後ろ姿が何だか微笑ましくて。


あたしはつい頬が緩みながらお礼を言った。


「何笑ってんの?」


山下くんはそんなあたしを見て不思議そうに聞く。


「変わってないなぁ…って」


「え?」


山下くんが聞き返す。


「二ヵ月ぶりに会ったけど、山下くんのそうゆう優しいところ。全然変わってないね」


あたしの言葉を聞くと山下くんは立ち止まり、難しい顔をした。


「俺は優しくなんかねぇよ」


山下くんはそう言うけれど、あたしは首を振った。


中学の時だってそうだった。


決して皆が騒ぐほど優しくはなかったけど。


困ってるときとか、落ち込んでるときとか。


すぐに気付いてはさりげなく元気づけてくれた。