それで、最近ようやく朝練をはじめたんだけど。
「あ、おはよ咲!」
「おはよー英理。」
「今日も来てくれたんだね!!待ってたよ!」
「ごめんね、バス遅れて・・・」
「大丈夫大丈夫!!ささ、コートにお入りくださーい。」
コートには既に3人の男子と1人の女子が練習をしていた。
いつもの風景。
私に最初に話しかけてきた前髪ぱっつんポニーテールの石垣英理は、努力家のすごくいい子。
もとからこの桜丘高校の近所に住んでいる英理は、1年生の時から先輩達と朝練をしていた。突然入ってきた私や琴音にも嫌な顔ひとつしない優しい子。そして男子テニス部と一番仲がいい。
今もラリーをしていたのに、私に譲ってくれた。なんか、途中から入ってきたのはこっちだしすごい申し訳ないんだよね。
そんなことをこの間琴音にぽつりと言うと、琴音も同じ気持ちだったらしく、今度なんかお礼しようよ!と言われたので何か考えとこうと思う。
私はコートに入ると、1人の男子に相手を頼んだ。
「神谷ー、相手してください。」
「おはよー、いいよ。」
この男、神谷柊(シュウ)は男子の部長。
可愛い顔をしているらしく(私のタイプじゃないからよくわからないけど、)女子、特に年上にモテる。
でも実は、この男彼女がいる。