「という事があったのですがどう思いますか。」
LHRが終わった後の、部活が始まるまでの時間。
私は幼馴染の清水凌に、今日の朝から昼休みにかけてあった事を一通り話していた。
「だからオレが来たとき険悪そうだったのか」
たいして気にも留めていなそうな口調の凌にむっとした私は少し口調を強める。
「そうなの!てか来るの遅すぎ!なんで同じマンションに住んでるのにそんなに時間かかるの!」
そう、私と凌はいわゆる腐れ縁だ。
保育園から小中学校まで同じ空間で生活し、高校まで同じ。
クラスは離れたものの、やはり気の知れた仲だ、相談に乗ってもらう事も多い。
「オレんち時差はんぱなくてよー。てか別にいいだろ、バスケしにきたんだから」
コイツもやっぱり歪んでる。
「...本当に似てるな、2人とも」
心の中で思っていたことが出てしまっていた。
「あん?」
「なんでもないっ!部活始まっちゃうよ、急ご!」
話題を変えたことには触れられずに済んだ。
「ああ、だな。今日も遥とやってやっか」
バスケ部内で2学年のツートップされている2人は何かと一括りにされることが多い。
そんな事言って一番楽しみにしてんの凌なくせに。
「遥なんかに負けないでよね!」
そういって、背中を思いっきり叩く。
「っいってーな、クソ!わーかってるっつの」
悪態をつきながらも体育館へ向かう幼馴染の背中は心なしか大きく見えた。