時は昼休みに遡る。
私、樋口夕那は完全なる負のオーラを纏ったまま、さよと昨日の放課後の出来事について話していた。
「なに、それであんたは『オレの事好きでしょ?』って聞かれて?完全否定した上で?遥の事を?女たらし小人バスケ馬鹿って言ったワケね。馬鹿はお前だ!」
さすが親友、傷口に塩どころか銃弾えぐり込んで来た。
「だって、恥ずかしいし!私達一応恋人だけど別に本気で好きなわけじゃないし...」
不覚にも整いすぎた顔にときめいてしまったのは伏せておこう。
「そういう時はお世辞でも遥が大好きっ!ってやんないと、ムードないなぁ...」
「そうだよー、ゆうったら本気で照れてオレの事ぶん殴ってきてさー。」
噂をすれば影、とはこういう事を言うのだろう。
話の張本人が、隣のクラスからやってきて私の隣に座る。
「...どうせ後5ヶ月だし、我慢我慢」
そんな呟きも彼に聞かれてしまっていて。
「その言葉5ヶ月後、ぜってー言わせねえから」
「っ、ぜったい好きになんかなんないからこの小人め」
これだけベタな台詞をなんの抵抗もなく言えてしまうのも、これまでのの彼女にも言い続けてきていたからなんだなと思うと、余計に怒りが沸いてくる。
「まあこれも全部ゆうが悪いんだけどね」
「確かに、アホだからしかたないわ」
どうして私の周りには性格の歪んだやつしかいないんだろう。
「さよはもっと女の子らしい喋り方すればいいのに、まあしなくたってモテるか。」
ブラウンの髪をポニーテールにし、小柄で細身、顔だって良しとくれば男子共が放って置かないのも当たり前だろう。
「だって '' 踏まれたいランキング不動の一位 '' だもんな 」
「だからその呼び方やめろぶっころす」
2人とも喋んなきゃ綺麗な顔してんのになあ...
ふと窓の外を見ながらそんな事を考えていると
「...ん、まだいたわ」
「「なにが?」」
2人の声がシンクロする。
「だから、私の周りにいる、綺麗な顔したやつ!」