けれども、呆気なくその手は空を切り、届くこと無く、風の渦に捕まった。 「おばあちゃんが、ゆきに、少しだけど力をあげるね」 最後にそう、耳にした言葉が、気のせいかどうかは分からない。 ただ、いつか、心が通じ合える人と出逢えるなら。 私は、そのために生きていく。 俺が、生まれたのは、この瞬間だった。