へきる、という名前は珍しい。

そうそう何人も巡り合えるものではないだろう。

そう考えると、彼女が幼い頃の双葉だった可能性は高いと思う。

それにあのキーホルダー…双葉はずっと、あのキーホルダーを持っていたのだろうか?

俺が何の気なしにとってやったキーホルダーを、11年間も大事に…。

無性に双葉に訊いてみたい気分だったが、今の俺にはどうする事もできない。

今、俺のいるこの時代は、同級生の双葉のいる時代ではないんだから…。

「疲れたな…」

誰にともなくそう呟く。

ベンチの上に横たわるようにして体を預けた俺は…。










いつの間にか、深い眠りに落ちてしまっていた…。