ソフトクリームを食べ終わる頃には女の子はだいぶ落ち着いたのか、ケロッとした顔をしていた。

少しは気分が和らいだみたいだ。

さてと、それじゃそろそろ迷子センターに連れて行くか。

そんな事を考えていた時だった。

「あ!」

突然何かを見つけて、女の子は走り出した。

「あ、おい!」

慌てて女の子を追いかける。

成程、こんな風に見つけたものにすぐ飛びついていくから、迷子になっちまったんだな。

こりゃ親も大変だろう、などと心の中で苦笑していると、女の子はデパートのゲームコーナーの一角にいた。

クレーンゲームの景品に目を奪われている。

「あれほしい~」

女の子は俺を見上げ、クレーンゲームの景品を指差した。

仕方ないな…。

「ん?どれが欲しいって?」

財布の中から百円玉を出しながら、女の子に尋ねる。

「あれ」

女の子が指差したのは…キーホルダーだった。

某未来製猫型ロボットの、キーホルダー。

新品で、汚れてなくて、ボロボロにこそなっていないが、それはこの時代に来る前、双葉が鞄に付けていたキーホルダーと全く同じものだった。

…ただの偶然だろうか。

違和感を覚え、立ち尽くしてしまう。

「ねーっ」

女の子が、俺の制服の袖口を引っ張った。

「あ、ああ…悪い」

俺は百円玉を投入し、クレーンゲームをスタートさせる。

こう見えてもこの手のゲームには自信がある。

ワンコインであっさりゲット。

「ほら」

俺は女の子にキーホルダーを手渡してやる。

「わー!ありがとー!!」

目をらんらんと輝かせ、女の子は嬉しそうにキーホルダーを見つめていた。