ふと、双葉が鞄につけていたキーホルダーの事を思い出す。

テレビアニメの、某未来製猫型ロボットのキーホルダー。それ自体はそんなに珍しいものじゃない。

ただ、ものすごく年季の入ったシロモノだったように思う。

薄汚れて、傷だらけになって、ボロボロになったキーホルダー。

何であんな古いのつけてるんだろう。

あんなの、ゲーセンの景品で幾らでも手に入るし、買ったとしても何百円程度のもんだ。

双葉には何か、あのキーホルダーに思い入れでもあるのかな…。

そんな事を考えつつも、俺にとっては初対面の女の事なんてわかるはずもない。

何だか今日は訳のわからないことばかりで疲れていた。

いつもなら寄り道したりするところだが、珍しく真っ直ぐ家に帰る事にした。

思えば賢明な判断だったと思う。

これからの「長旅」に備えて、体力は幾らあっても足りないくらいだったから。