「犬飼くん、教科書みせて?」
「犬飼くん、お弁当食べよ?」
「犬飼くん、ちょっといいかな?」
「犬飼くんってかっこいいね」
「犬飼くんって彼女いるの?」
「犬飼くん、アドレス交換しよ?」
・・・むかつく
これは嫉妬
それくらい分かる
でもしょうがないじゃん。
ずっと犬飼くんばっかりじゃん
そして聞こえた
「犬犬コンビでいい感じよな。」
「美男美女!お似合いだわ~。」
クラスの男子がいってた
あたしは美女じゃないからしょうがないけど
そこまでいう?じゃああたしってなんなの?
結局お昼食べてくれなかったし、海斗
べつに犬井さんでもいいの?お昼食べる人
なに不安になってるんだろ、あたし。
だめだめ・・・!
「か、いと・・・帰ろ?」
「あぁ、うん・・・珍しいじゃん、誘ってくれるなんて」
だって犬井さんと行きそうだったんだもん
・・・なんていえないから
「別にそんなことないし」
「犬飼くん、猫田さん一緒に帰ろ?」
・・・なんで?なんでよ。
海斗じゃなくたっていいじゃんか。
「俺はいいけど、猫ちゃんは?」
「・・・うん。」
「猫ちゃんなんだ?猫田さん。」
「うん。」
「あたしもよんじゃおーっと。」
「やだ、気安くよぶな。」
よぶなよぶなよぶなよぶな
絶対嫌だ
やだやだやだやだ!
「・・・え?」
犬井さんは涙目
「おい、未海言いすぎだぞ?」
「なんで?飛鳥にいってもいいのに?」
犬井さんはいったらだめなの?
特別扱い?そんな親しいんだ
もういいよ
犬犬コンビでいいじゃんかっ・・・
「未海?どうした?」
海斗が手をのばしてきた
「近づくな!」
でもあたしはその手を振り払って
走り出した
後ろで海斗がよんでたけど無視した
・・・海斗が追いかけてくることはなかった
・・・だよね犬井さんがいいんだもん
追いかけてくるわけないよね
バカじゃん、あたし
期待してた・・・・・・
「ふっ・・・ふぇっ・・・うっく・・・うぅ~・・・」
あたしは秘密の場所でひたすら泣いた
そして泣き疲れて寝てしまった
「んっ・・・」
寝ちゃった?あたし・・・
って暗い!
やば・・・帰れないよ、怖いよ
たすけてっ・・・海斗
そうだ、海斗はこないや。
犬井さんがいるもん
それに泣いてたから瞼あかないし
こんな顔見られたくないしラッキーかもあたし
とりあえずここで泊まろう
お母さんにメールいれとこ
・・・充電切れ。ついてない。
まぁ、泊まってるって思うか
基本規則ゆるいし
大丈夫かな
そろそろ寝ちゃお
あたしは秘密の部屋の鍵を閉めた