「はい、お待たせ」

 陽菜がコーヒーとクッキーを運んでくれた。
 その動作も自然で手慣れていることが分かる。
 コーヒーカップもクッキー皿も有名なブランド品だった。

 陽菜は自分の前にカップを置くと、目の前に座った。
 

 テーブルを挟んでいるとはいえ、正面に陽菜がいるって、どうなんだろう。
 おまけに2人きりだし、緊張してきた。ドキドキする。

 でも、なんか話さないと。

 俺は陽菜の手元に目をやった。

「あれ、陽菜は食べないの?」

 彼女の所には、カップ一つだけ。

「うん。匂いだけでお腹いっぱいになっちゃった。白河くんは食べてね。口にあうかわかんないけど」


 作ってもらう側だからよくわかんないけど、そういうもんなんだろうか。
 食べるのがもったいないくらいだけど、
 せっかく陽菜が作ってくれたものだから遠慮せずに食べよう。