それにしても、陽菜って料理できるんだ。

 日頃の行動を見てたら、トロそうだし、不器用そうに見えるのに、
 包丁なんて持ったこともありませんって感じなのに。


 てきぱきと動く様子は普段からやり慣れているような感じ。

「陽菜って料理するの?」

 ダイニングテーブルに座っている俺は、その手際の良さに感心しながら
 聞いていた。

「うん。毎日じゃないけど、時間があるときとものすごく疲れていなければね。うちは両親が共働きだから、自然とそうなっちゃったって感じかな」

 
「へえ」

 話をしている間にも、クッキーが焼ける甘い匂いが漂ってきた。


「意外だった?」


「えっ、まあ、何というか」