「え?」

「えっ、じゃなくて、スマホ仕舞う前にすることあるだろ?」

 その言葉に陽菜がポケットを見た。


 あっ。

 陽菜の視線を感じて、掴んでいた手首を慌てて離した。
 彼女のそれは思っていたよりずっと細かった。


「ごめん。つい」


「いいよ。別に、痛くなかったし」


 って、平然と。


 ちょっと顔を赤らめるとか、ちょっと俯くとか、しどろもどろになるとか。
 少しは意識してくれたらいいのに。