玄関を開けた陽菜が、

「白河くんも寄っていかない?」

 
 って声をかけてくれた。

 
 いつもは玄関の前でさよならしていたから、これはチャンスだよな。
 1人邪魔者はいるけど。

 ここは迷うところじゃないよな。

 初めてのお家訪問。


「うん」と返事をしようとしたところへ、


「だめ!」


 俺たちの間に歩夢が入り込んできた。


「歩夢。いいじゃない。白河くんにはいつも送ってもらうし、お礼もしたいし。と言っても、お茶くらいしか出せないけど」

 俺にはそれで充分。
 ていうか、別にお礼をされるようなことはしていない。

 俺が好きにやってることだし。



 むしろ、こっちの方がお礼したいくらいだ。

 いつも送らせてくれてありがとうって。