「じゃあ、先に帰っていいかな?」

 
「!」


 うそだろ?


 俺と一緒に帰ってるんじゃないのかよ。


 平然と。
 今にも俺を置いて歩き出しそうな、陽菜の腕を慌ててつかんだ。

「悪かった。送っていくから」

 
 こいつ、ホントに俺のこと何とも思ってないんだな。
 自信失くす。


「うん。歩夢に拗ねられたらあとが大変だから、早く帰りたい」


 陽菜はほっとしたように微笑んだ。

 って、そんなに歩夢ってやつが大事なのかよ。

「白河くん。腕」

「ああ、ごめん」


 掴んだままだったのを忘れていた。


 手を離すと、俺たちは並んで歩き出した。