「歩夢ってやつとはどんな関係なんだよ」


 ムカつく。


「どんなって? 幼馴染みで弟、かな?」

 陽菜の口調はどこまでものんびりしている。
 俺の気持ちなんて、ちっともわかっていない。

「幼馴染みで、弟なら、抱きついてもいいのかよ」



 さらにムカつく。


「意味が分からないんだけど。ねえ、歩きながら話さない?」

 さっきまでの行きかう人々の好奇な目はすでになくて、
 雑踏の中に俺たちだけが立ち止まったままだった。


 家に帰る途中だから、いつまでもここにいるわけにもいかない。


 わかっているけど……

 先を急ぎたがる陽菜に腹が立つ。



「聞いてるんだけど?」

「白河くん?」

 
 キョトンとした表情で、相変わらずのんびりとした声。


 ますますムカつく。